2026年3月2日~3日に名城大学天白キャンパスで開催された日本機械学会 情報・知能・精密機器部門講演会(IIP2026)にて、当研究室から柳生稜介君と小山泰輝君の2名の修士課程の学生が発表を行いました。
一人目の柳生君の発表は,「動的な身体計測」に関する研究です.床が動いたときの足裏にかかる力などを測ることで,身体の重心の高さや慣性の大きさを推定しようとする取り組みです.実際に計測を行った結果,推定値に多少のばらつきが出るなど,実用化に向けた課題も明確になり,今後の発展につながる大変有意義な報告となりました.
二人目の小山君の発表は,「バランスを取るときの左右の踏ん張りの違い(非対称性)を評価する」研究です.D&D2025で講演した周波数解析を用いたバランスモデルを介した評価とは別の観点として,重心変位と左右足関節トルクのコヒーレンスから応答の正確さ(再現性)を評価する新しい手法を提案しました.この手法を使うことで,左右の足の応答の質的な違いなどをより詳しく判別できるようになります.
当研究室の研究の取り組みは,以下の「3本の矢」に例えることができます.
第1の矢:実用的な計測から身体の重心位置の正確な推定技術の開発
第2の矢:個人のバランス能力を表す数理モデルの構築および同定
第3の矢:身体を機構モデルに置き換えたときの,質量・長さなどの推定
柳生君の研究はこの「第3の矢」にあたり,我々の研究のベースをさらに強固にする重要な取り組みでした.また小山君の研究は,彼がこれまで取り組んできた「第2の矢」に,「第1の矢」の考え方を応用した集大成とも言える内容でした.どちらの発表も会場の先生方から建設的なご提言をいただき,今後の研究の進展につながる良い着眼点が得られたと思います.
今回発表した2人は修士2年生のため,これで研究室での主な活動は一区切りとなり,あとは3月18日の卒業式を待つばかりです.彼らは入学時がコロナ禍に始まった世代ですが,学部時代から含めて3年あまり,真摯に研究に向き合ってくれました.小山君は複数の講演会で発表して賞もいただきましたし,柳生君は難易度の高いテーマに粘り強く取り組んで,最後に全国規模の学会で発表を成し遂げてくれました.それぞれの成長がみられたことをうれしく思っています.

私自身,IIP部門の講演会に初めて参加しましたが,大変興味深い発表が多く,普段は交流する機会が少ない分野の研究者の方々とも意見交換ができ,貴重な時間となりました.名城大学のキャンパスは3年前のSHD2023でもお世話になったのですが,相変わらずピカピカでおしゃれな空間でした.講演会の開催にご尽力いただいた皆様に感謝申し上げます.
私が携わっている「人の運動計測・解析」に関する研究は,機械工学の中でも様々な部門で行われています.観点も多様であるからこそ,部門の垣根を越えた交流がもっと増えればと感じています.例えば日本機械学会の年次大会などはそうした交流に最適な場だと思います.私自身もセッションを企画する立場(オーガナイザ)の一人ですが,今後はより幅広い分野の研究者が交流しやすい環境づくりに貢献していければと考えています.
最後に,2026年度に私は以下の講演会で実行委員・幹事・オーガナイザなどの立場で運営に携わる予定です.ちょうど講演の申し込みの時期を迎えているものもございますので,ご興味のある方は,ぜひご講演や聴講をご検討ください.どこかの会場でお会いできれば,大変うれしく思います.
- SIT2026(7/9~10,東京ビッグサイト)
- D&D2026(8/30~9/2,長良川国際会議場)
- 日本機械学会年次大会(9/6~9,東海大学湘南キャンパス)
- ACMD2026(10/25~29,沖縄コンベンションセンター,国際会議)
- SHD2026(11/20~22,公立小松大学)