2025年9月7~10日に北海道大学札幌キャンパスにて開催された日本機械学会2025年度年次大会にて,園部が2件の講演を行いました.

1件目は,9月7日に福祉工学協議会で同志社大学の伊藤彰人先生に企画していただいた市民フォーラム(ライフサポート:身体のダイナミクスの評価とモデル化)において,「機械工学的な観点からの人のバランス評価(めまい診断への適用を目指した取り組み)」と題した講演を行いました.一般的な末梢性めまいの検査方法を説明したうえで,めまいの診断が難しいふわふわ性のめまいを立位のバランスから検査するための方法を説明しました.簡単な計測法でより詳細かつクリティカルな計測データを得るために,我々はフォースプレート(足下)と慣性センサ(頭部)を組み合わせた方法を提案しており,この検査法で患者さんの状態を高い解像度で把握できるようにして,診断や治療のサポートになる情報を提供することを目指しています.
2件目は,通常の研究発表で,「実用計測に基づく片脚立位のバランス評価」と題した講演を行いました.これは,3月に修士課程を修了した高橋涼介君の研究成果を共著で報告したもので,片足立ちでは前庭感覚(内耳にある耳石器や三半規管による運動検知)の重要性が増えますが,片足立ちがあまり上手でない被験者は通常の立位(二足)で頭部の角速度が大きくなったり,前後方向のゆっくりとした重心変動が大きくなる傾向がみられることを報告しました.本内容は,立位における前庭感覚の貢献を評価するための突破口になる可能性があると思います.また,共著者の高橋君も会場に来てくれて,4月からの仕事の様子など教えてくれました.研究室では十分に活躍してくれましたが,社会でも力を発揮してもらえればと思います.

園部は9月7日と8日のみの出席でしたが,部門同好会も含めて今回もたくさんの研究者の皆様とお話しする機会があり,感謝申し上げます.9月8日には,ISEA(International Sports Engineering Association)とのジョイントシンポジウムもあり,スポーツ分野の最新の研究状況も収集することができ,有意義な講演会となりました.北大のキャンパスの美しさと札幌の涼しさがとても心地よかったです.北大をはじめとする実行委員の先生方,および,企画をいただいた皆様に感謝申し上げます.